嘉代子桜2世の植樹について

【更新日】2021年11月11日

「嘉代子桜」は、長崎の原爆の爆心地から西に500メートルの長崎市立城山小学校の校庭にある6 本のソメイヨシノです。
70 年前、長崎に原爆が投下されたとき、今の小学校の敷地にあった旧城山国民学校は、校舎の一部が兵器工場の事務所として使われており、動員されていた若い女性など138 人が命を落としました。
県立の女学校から動員されていた当時15 歳の林嘉代子さんも旧城山国民学校で亡くなった1 人で、母親が遺体を探し回り、遺体は3 週間後に校舎の3 階で見つかりました。母親は、一人娘の嘉代子さんや若くして命を落とした女学生たちの慰霊のために、昭和24 年、嘉代子さんが好きだったソメイヨシノの苗木を贈り、およそ50 本が植樹されましたが、台風の被害などで、現在は6本に減っています。「嘉代子桜」は平和のシンボルとなり、昭和56 年には絵本が出版されたほか、紙芝居が作られ、平和活動に役立てられています。
いまも花を咲かせる6 本の桜は、城山小学校の児童たちが世話をしていて、原爆の被害の悲惨さや平和の尊さについて学ぶ場所になっています。
2012 年、シロアリ被害で枯死の危機にあったこの6本は樹木医の海老沼さんに治療され,今春もきれいに花を咲かせました。ただ、ソメイヨシノの寿命は70~80 年とされています。「植樹から70 年経つ6 本がいつ枯れてもおかしくない」。危機感を抱いた城山小の原爆殉難者慰霊会会長の本田魂さん(77) は樹木医の海老沼さんに2世づくりを相談しました。海老沼さんは、嘉代子桜の枝を別の木の力を借りて育てる「接ぎ木」の手法で、2 世の苗木100 本を育てました。大規模に育てるのは初めてだそうです。

三原小学校も、林津恵さん嘉代子さん親子の深い愛情を忘れることなく、平和の願いをもっと広く伝えていくために、「嘉代子桜2世」をここに植えて育てていくことにしました。城山小学校の「嘉代子桜」とともに、これから「嘉代子桜2世」も、毎年、美しい花を咲かせ、ひとりでも多くの人々に、平和の心が広がっていくことを願っています。11月12日(金)に6年生の手により、植樹を行う予定です。